本来は根本を理解すべき、基礎を徹底すべきですが・・・時には例外もあります。

定期テストが迫り、Basicでもテスト範囲の勉強に入っている生徒さんが多いです。

テスト範囲の勉強に入っている生徒さんのほとんどがBasicの基礎プログラムを終了し、「テスト範囲の学習に進んでもしっかりと理解できる」力を持っています。

では、基礎プログラムを終了していない生徒さんはテスト直前の学習はどうするのか?

基本はテスト勉強ではなく、基礎プログラムを進めてもらいます。

なぜなら、基礎的な力が備わっていないとテスト範囲の勉強をしても、身に付けることが難しいからです。

たとえば今回の中学2年生の二学期中間テストで言えば、多くの学校で一次関数の範囲が出題されます。

一次関数の範囲では、「2直線の交点の座標を求めなさい。」という問題があります。

この「2直線の交点の座標を求めなさい。」という問題では連立方程式を用いますから、まず連立方程式の計算ができなくてはいけません。

もっとさかのぼれば、連立方程式を解くには中1で習うxのみの方程式を解けなくてはいけません。

方程式を解くにはその前の文字式のルールの理解も必要でしょうし、正負の数の四則計算のルールも理解していないといけません。

さらに分数のかけ算などもできなければいけないので、場合によっては小学生の計算から見直さなくてはいけないのです。

そういう基礎をすっ飛ばして「テスト前だからテスト勉強をする」と言っても、ただ単にワークの答えを写すだけ、という勉強になってしまうことが多いと思うのです。

ただ、「テスト直前なのにテストで点数にならないような基礎問題ばかりをやるのは気持ち的に前向きになれない」というのも分かります。

われわれもできるだけ早くテストで結果を出してもらい、「やっぱり勉強していてよかった!」という達成感を持ってもらいたいのは生徒の皆さんと同じです。

そういう達成感が自信につながり、その後の学習にも良い結果をもたらすことも多いですから。

だからこそ、われわれも悩みます。

「この子はまだまだ基礎力が付いていないから、テスト勉強をやっても身に付かないよな…。でも、これだけ頑張っているんだから、少しでも達成感を持ってもらいたいな…。」と。

本来は勉強の根本を理解してもらうべきだと思います。基礎を徹底してから次に進んでいくべきだと思います。

それが理想だと思うのです。

でも、理想と現実はやはり違います。

現実、頑張っても頑張ってもテストの点数が上がらないのは気持ち的に辛いはずなんです。

理想だけでは努力を続けるのは厳しい時もあると思うのです。

現実的に「点数が伸びた」という結果が、その生徒さんのエネルギーになる部分は多いと思うのです。

一次関数の範囲で、Basicの指導に関わるスタッフ達で相談をしました。

まだ基礎プログラムが残っていて一次関数自体を理解するのは難しいけど、それでも何とか少しでも点数を取ってもらうにはどうするか。

連立方程式が解けなくても、比例・反比例が分からなくても、計算力がまだまだ不安でも、それでも何とか取れる問題はないか、とスタッフ一同で問題をピックアップしていきました。

「傾き・切片を答える問題」「グラフを書く問題」「グラフを読み取る問題」

このあたりの問題であれば基礎力が不足していても何とか点数を稼ぐことができるのではないか。

ここに絞ってテストまで徹底的に繰り返そう、と話し合いました。

正直に言えば、今でも葛藤があります。

この勉強をしている間はBasicのプログラムの学習は一時的にストップしてしまうからです。

大事な基礎力の向上、という学習にしばらくの間、空白ができてしまいます。

テスト明けにこの基礎プログラムに戻ってきたとき、忘れてしまっている部分がどこまであるか…というのは我々も不安ではあるのです。

ただ、先ほども言ったように「勉強を頑張ったら点数が伸びた」という成功体験は生徒さん達の今後の学習に大きなエネルギーとなると思っています。

多少、基礎プログラムの学習内容を忘れてしまう部分があったとしても、それを補うくらいのやる気をもたらしてくれると考えています。

Basicのホームページやパンフレットには、本来は「テスト期間でも基礎プログラムを優先します」と書いてあるかと思います。

ただ、「ここは勉強の努力を結果で感じてもらいたい。それによって自信をつけてもらいたい。その方が、今のこの子にとっては大事だ。」と判断した場合は、今回のように例外的にテスト勉強に移る場合もあります。

塾によっては「この時期はこの勉強をするべき。このカリキュラムは絶対に変えずにその順序で指導するべき。」と、指導内容をガッチリ決め、例外を認めないところもあると思います。(私がかつて勤めていた大手塾はそうでした。)

しかし、山口学習塾は本部校教室の指導も含め、生徒さん達の様子や学校の授業の進度など、常にその場その場の状況を見て、必要と判断すれば内容を変えることもあります。

その生徒さんにとって今一番必要だと考えられる指導を提供していく、大げさな表現かもしれませんが、それが我々の使命だと考えています。